福井県盲教育振興会発会趣意

一、 盲教育の徹底が叫ばれている今日、科学的、社会的教育方法を研究しなければならない。

二、 県下には、強度の弱視者でありながら、未だに家庭の事情や、世間への気兼ねから盲学校へ入ることを拒み、普通の学校で劣等感を感じながら、非能率的な学習を続けている児童や生徒の数が少なくない。

三、 視力障害者に対する保護、社会福祉的な恩恵がまだ一般化されていない。

四、 法により就学奨励費を与えられているが、それでもまだ学資に不足を生じ、就学に困難な児童生徒がある。

五、 義務教育としての基礎教育、完成教育としての職業教育、及び、家庭または社会人としての教養をつけるため、同一学校において、14 年間の長きにわたって学習しなければならない本校にあっては、学校寄宿舎の施設と人間関係とが、盲生、弱視生の育成に対し如何に大きな影響があるかについての理解が乏しい。

六、 前近代的な殻を破って、近代的な機械や器具に慣れ、特に理療科の学習には最新の技術を応用し得る知識と能力を附与するような施設設備が不十分である。

七、 一県一校の盲学校にあっては、他校との技術の交換や研究など、職員の研修に困難をきわめている。

八、 視力障害の程度、知能、身体状況、年令の差異が甚だしいため個別指導を極度に重視しなければならない。したがって学校寄宿舎における指導は、格別な工夫研究を必要とする。

九、 盲児の伸長も正常児と同様に幼少時の学習が、その成果に大きな影響があるので、盲学校にも幼稚部の設置が切望されると共に家庭における盲幼児の取扱にも留意しなければならない。

(昭和37年6月10日 福井県盲教育振興会発会趣意書より抜粋)

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